疼痛

腰痛

圧迫骨折や破裂骨折など外傷によるものや、すべり症や変形性脊椎症などの脊椎や脊柱の損傷・変形によるもの、ヘルニアや狭窄症、靭帯の骨化により神経を圧迫しているもの、脊椎炎やリウマチなどの疾患によるものなど腰痛の原因は多々あります。

一般的に腰痛にはコルセットが有効です。コルセットは体を支持し、腹圧を高めて脊柱にかかる圧を緩和させる効果があります。さらに温熱効果もあり、疼痛を和らげます。また、手術をされる場合は安静姿位に保持し、一定の運動を制限するためにプラスチック製の装具が処方されます。

圧迫骨折では、前かがみを防ぐために胸部と下腹部にパッドのついた金属フレームの装具が有効です。

変形性膝関節症

膝関節への負荷により軟骨が磨り減ることで、骨組織の破壊や変形が進み、疼痛やこわばり、機能障害が生じます。

日本人はO脚傾向にある方が多いため、膝の内側に症状を訴える方が多いようです。また肥満や靭帯損傷、半月版損傷の後遺症として生じることがあります。

変形性膝関節症の装具として膝のサポーターが一般的ですが、症状に応じて支柱付や負担を軽減させるベルト付のものなどもあります。

また軽度~中度の変形性膝関節症に対して、膝内側にかかる圧を減少させるために外側をやや高めに設定したインソールも効果的です。

治療には装具療法の他、運動療法、理学療法、注射療法などもありますが、難治性の場合には手術療法により人工関節置換術が用いられることがあります。


脳血管障害

脳卒中片麻痺

脳卒中とは、脳の血管の障害によってその先に栄養が送られず、脳の働きや脳から指令を受ける身体に障害が起こる疾患です。

脳卒中の原因は脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管が破れる脳出血やくも膜下出血の大きく2つに分けられます。日本人の死亡原因第3位とされており、命が助かっても様々な後遺症が残る場合が多いです。

片麻痺は脳卒中の代表的な後遺症のひとつであり、障害を受けた脳の場所とは反対側の手足に麻痺や運動障害が現れます。手足の麻痺によって歩きづらくなったり、転倒しやすくなったり、自重で肩が亜脱臼してしまったり、字がうまく書けなくなったりします。また痙縮という筋が緊張しすぎてしまうことで、手を握ったままに開くのが難しくなったり、手足が勝手に動いたりという症状が現れたりもします。

さらに、以上の運動障害以外にも言語障害や感覚障害、理解力の低下など様々な症状が現れます。

脳卒中片麻痺は症状が多様であるために、装具の種類も多く、それぞれの症状や能力に応じて医師から装具が処方されます。たとえば、立位がとれない方には両側支柱付長下肢装具、麻痺で足先が下がってしまう方にはプラスチック製短下肢装具、足関節の角度制限や角度調整が必要な方には両側支柱付短下肢装具、肩が亜脱臼してしまう方には三角巾やアームスリングなどがあります。


リウマチ

リウマチは原因不明の慢性多発性関節炎を主病変とする全身疾患です。原因は不明ですが、膠原病のひとつで自己免疫や免疫反応が関係しているといわれています。関節の炎症と破壊が特徴的で、変形に進行、それにより機能障害を引き起こします。

30~40歳代の女性に好発する疾患で、アメリカリウマチ学会の診断基準(1987)によれば以下の項目のうち4つを満たすものを関節リウマチと定義しています。

(1). 少なくとも1時間以上持続する「朝のこわばり」が6週間以上続く

(2). 3個以上の関節の腫脹が6週間以上続く

(3). 手・中手指節関節・近位指節間関節の腫脹が6週間以上続く

(4). 対称性関節腫脹が6週間以上続く

(5). 皮下結節(リウマチ結節)

(6). 血清リウマトイド因子が陽性

(7). 手・指のX線の変化


手指の変形や中手指節関節の偏位、各関節の脱臼などがみられ、さらに進行すると関節の高度な破壊で指が短縮し、指がぶらぶらの状態になったり、伸び縮みしたりするような変形になることがあります。進行性であるため、早期の診断・治療が必要です。

治療には薬物療法や物理療法、手術療法が用いられます。リウマチ患者様に対する装具としては、各関節を保護するための装具や変形した関節に合わせた靴やインソールなどがあります。


スポーツ疾患

膝靭帯損傷

膝には前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯の4つの靭帯があり、膝の安定や運動の補助をしています。これらの靭帯は事故やスポーツ時の衝撃によって大きな外力が加わることで損傷が生じます。

特に前十字靭帯はジャンプの着地時や急激な方向転換、急停止などで損傷することが多いです。また、膝の外反を強制するような接触プレーでも他の靭帯と共に損傷することがあります。

損傷すると痛みや腫れが生じ、膝の安定性が失われるために歩行にも影響します。

治療には膝周りの筋力強化や装具療法、靭帯再建術などがあります。前十字靭帯は膝を伸ばした状態で緊張するため、装具は膝を完全に伸ばさないようなものが処方されます。膝の動きを安定させる支柱付のサポーターや、膝の角度を調節できる膝装具、手術後の安静を目的とした装具などがあります。またスポーツをする方に多い怪我であるため、予防や保護のためにスポーツをするときに使用できる装具もあります。

半月板損傷

半月板は大腿骨と脛骨の間にある軟骨で、荷重の分散や膝の安定性に関与しています。

スポーツで損傷することが多く、特に膝の曲げ伸ばしとねじりの動きの協調性が崩れたときに発生します。

自覚症状は運動時痛や膝の違和感、轢音、膝折れなどです。半月板の辺縁1/3では血液供給量が豊富で修復が期待できるため、安静後に運動療法が行われます。日常生活に支障をきたす場合や早期復帰が望まれるスポーツ選手の場合は手術療法が用いられます。

腰椎分離症

脊椎の椎弓と呼ばれる部分に繰り返しストレスが加わることで生じる脊椎の疲労性骨障害です。激しいスポーツをしている成長期の若者に起こりやすく、腰の痛みが主な症状です。特に体をそらした時に疼痛や運動制限が出るため、障害部位の安静と、体のそらしを防ぐコルセットが処方されます。

分離に加え脊椎にすべりが生じ、日常生活に支障のある場合には、手術による治療も考慮されます。


小児疾患

先天性股関節脱臼

病的なものや外傷など特別な理由がなく、出生時に生じた股関節の脱臼、亜脱臼、臼蓋形成不全等を指します。全体的に減少傾向にありますが、罹患率は9:1と圧倒的に女児に多い疾患です。股関節の開排制限や患側の外見上の短縮がみられ、将来変形性股関節症に進行する可能性があるため、小児期での治療が重要になります。

先天性股関節脱臼に対する装具療法では、主にリーメンビューゲルと呼ばれるベルト状の装具により、股関節を曲げて開いた状態で保持します。この姿位により股関節を安定させ、脱臼しやすい足を閉じた状態になることを防ぎます。

脳性麻痺

脳性麻痺は「受胎から新生児期(生後4週間)までの間に生じた脳の非進行的病変に基づく、永続的なしかし、変化しうる運動及び姿勢の異常」と定義されています。その症状は満2歳までに現れ、進行性疾患や一過性の運動障害、将来正常化するであろうと思われる運動発達の遅延は除外されます。

痙直型と呼ばれる脳性麻痺では、成長により主導筋と拮抗筋の不均等が進むことで、変形や拘縮が起こってきます。たとえば、つま先が下がったままになる尖足や偏平足のような外反、その反対方向に内反する足部の変形、反張膝や屈曲などの膝の変形、内股・屈曲など股関節の変形が現れます。そのため、装具も変形や拘縮の予防やその矯正を目的とした装具が処方されます。また、不安定な関節を支え、立位での体重支持や歩行や移動のためにも使用され、日常生活のほか、正常運動発達の促進を行います。

成長期を過ぎた脳性麻痺の方では、運動発達というよりも変形や拘縮の予防や矯正、残存機能の活用を目的に装具が使用されます。

脊柱側弯症

人の脊柱つまり背骨は上から頚椎前弯、胸椎後弯、腰椎前弯、仙椎後弯と前後方向に弯曲していますが、側方向の弯曲はみられません。側弯症とはその名の通り、背骨が左右どちらか、もしくは両方に弯曲してしまう疾患です。

先天性や特発性、神経筋性など側弯症にはいくつかのタイプがありますが、その内のひとつ、特発性側弯症は思春期に発生する側弯症です。原因は不明ですが、男性より女性に多く、左右の弯曲に加えて背骨のねじれもみられる場合があります。

側弯症に対する装具療法の対象は湾曲の角度が25~40度で、25度以下は経過観察となります。骨成長が完全に終了する前に、自身の成長力を利用しながら装具によって弯曲とは逆の力を加えて、現状以上の進行を防ぐ目的で使用されます。弯曲している箇所によって装具の形は異なりますが、曲がった背骨を押し返すくらい強い力を必要とするので、支柱やパッドなどが付き、かさばることがあります。思春期ということで見た目を気にされる患者様もいらっしゃいますが、骨格が完成にむかう成長期は装具療法にとって大変重要な時期です。治療に対するご本人様のご理解とご家族のサポートが大切になります。

また弯曲の角度が40度以上になると手術療法が用いられることがあります。